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院⾧あいさつ

ラフカディオ・ハーンも歩いた楽山街道の一角で診療を開始して20数年、クリニックの診察室で出会い、回復に立ちあわせて頂きました。今後も精神科専門医、臨床心理士・公認心理師、看護師、精神保健福祉士、医療事務のクリニックスタッフー同で丁寧に治療に関わらせて頂きます。

メッセージ

最近思ったことを一つ、二つ・・・。我が家の紅葉の木や金木犀の木にはひよ鳥が毎年初夏に巣を作り、雛が飛び立つ。育った雛がまた帰ってきて同じ木に巣を作るのかは定かではないが、なぜか普通の家の庭の木で鳥が繁殖している。巣立つ時、飛んだことがないにも関わらず、親鳥に促されて飛んでみると飛べているところでいつも、鳥なのだな、と思う。人とはちがい、先読み不安で臆病になることはない。巣作りの時だけでなく、実を食べに来たり、ちょくちょく庭には寄っているが、空をつんざくようなひよ鳥の声が、私は好きである。秋のうつうつした気分、淋しい気分の時でも、「生きるしかないだろう…」と泣いているように聴こえる。

鳥の巣

ひよ鳥が運んだ実がその糞から発芽したのか、我が家と隣家との境界の、ぎりぎり我が家のところにひいらぎが育っている。土もほとんどないようなところで生えており、それでも枯れずにクリスマスのころには赤い実をたくさんつけた。この実をまた鳥が運んでいき、もう少し条件の良いところに芽を出すことは十分に考えられる。木は自分の運命を嘆いたりせず、根付いたところで懸命に自分の役目を果たしている。

庭木の中でも私が好きなものは薔薇である。薔薇といえば華やかな印象があるかもしれないが、秋冬の冷たい風の中で、誰に見られるともなく、ひっそりと花を咲かせる薔薇に心惹かれる。去年は日帰りで関東のばら園に行き、コンテ・ド・シャンパーニュという名の薔薇を持ち帰った。夏が終わったころには黒点病にかかり、葉はすべて落ちてしまい、枯れたと思われても仕方ない枝だけの薔薇になってしまった。枯れた薔薇が庭の片隅に片付けられるのも忘れられているとしか思えない光景だったが、枯れたように見えた茎から薄赤色の小さな芽が次第に膨らんできて、春には芽吹いた。新生した瑞々しい葉を茂らせ、梅雨の頃には白い鳥の羽を重ねたような良い香の花を咲かせた。まさに死と再生・・・自然に備わった再生の力、回復力は人智を超えたものがある。

人もトラウマがあっても、挫折があっても、回復する力が備わっていると信じ、それを応援できるようにと、切り株から芽を出す「ひこばえ」をクリニックの名称に持ってこようと考えたが(ひこばえクリニック)、誰に尋ねても「ひこばえって?」ついには「ハエの一種?」という意見まであったので、クリニックの名称にはあきらめた次第であるが、気持ちは変わらない。人にも自然の持つ人智を超えた生命力、回復力が備わっていますように、また少しばかりでもそれを応援したり引き出すことができますように、と祈りながら診療している。

~保険医協会「リレー放談」掲載文より~

メッセージ

待合の花

花を生けていると、花の生命力に圧倒される思いがします。死を見据えた生きることへの志向性を感じます。生け花免許なしで生けているので、型にはまっていませんが、野山の木々や草花の在り方が少しでも私の中に記憶があるとしたら、そういうものが形になればいいなと思います。

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待合の花(一部)

松江市 / 心療内科 / 精神科 / 内科

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